豚殺しの逆襲人生一年前の「百鬼夜行」の日、冥界の門が破られ、溢れ出した妖怪たちが人間界を蹂躙し、大虐殺を行った。
幸運にも生き残った者たちは皆、妖怪を退治する「異能」を覚醒した。
私に宿ったのは、命中すれば百発百中の必殺スキル。だが、その発動対象は「豚」限定だった。
そのため私は「最弱の役立たず」と蔑まれ、食堂の裏方で家畜の解体係としてあてがわれた。
そして一年後、妖気が最も強まる「百鬼夜行」の日が再び巡ってきた。基地は瞬く間に妖怪の群れに包囲される。逃げ道を作るため、恋人はあろうことか私の手足を拘束し、囮として妖怪の群れの中に放り込んだのだ。
「竜美、俺たちを恨むなよ。お前の異能何の役にも立たないから、この大災害の世の中じゃ、無能は死ぬのがお似合いなんだよ!」
彼は未亡人である義姉を大事そうに抱えて脱出用のバスに乗り込み、妖怪に喰らわれる私を見下ろした。
「お前の命で、俺たちのようなS級異能者が助かるんだ。光栄に思え。これぞまさに名誉の戦死ってやつだ」
彼は知らなかったのだ。私の「妄想症」が悪化していたことを。
そして、目に映るすべての禍々しい化け物たちが、私にはただの「豚」に見えていたことを。